5.シュリ・ナガナンダ・スワミが、右手から灰白色の粉(ビブーティ)を出
した。
シュリ・ナガナンダ・スワミ(Sri Nagananda Swamy)の寺院は、純白が基調
で赤や青など鮮やかな原色を使った美しい建物だ。建物でナガナンダ氏の話を聞
いたあと、インタビュールームの前の外廊下のような建物のすぐ脇のところに全
員で座り、個別インタビューの順番を待った。外廊下は緑がまぶしい芝生の庭に
面している。牛が数頭のんびりと噴水の水を飲んでいる。
個室に一人ひとり順番によばれ、その中でナガナンダ氏は病気や運勢を診て、
治したり対処の仕方を教えるのである。柑橘系の果実のようなものをもらった人
が数人いた。「レモン」だというのだが、少し緑がかった黄をしていて、プチト
マトほどの大きさであり、健康のためにいいものだそうだ。また、アトピーで傷
んだ手に物質化したビブーティをかけてもらった女性もいた。ビブーティを出す
とき、ナガナンダ氏は上着の袖をまくり上げて、右手の親指と人差し指を擦り合
わせるようにしてビブーティを出したという。粉は白く、チョークをつぶしたよ
うな粒子だった。ナガナンダ氏から砂糖や油をとるようにいわれ、我々が乗って
きたタクシーの運転手が買いに出ていった。カロリーコントロールに注意を払っ
ている日本の女性に砂糖や油は禁物なのだが、そのことと何か関係があるのだろ
うか?他にも砂糖をたくさん摂取するようにいわれた人がいたが、インドの砂糖
はきれいに精製されていないろうから、砂糖の中には健康によい成分がたくさん
含まれているということで摂取を勧めるのか、その真意は解らない。
私の順番となったので部屋の中に入った。10畳間程度の広さであろうか、薄
暗い部屋である。私は立っていると、頭や背中をスワミは指でいろいろと押して
、診断が始まった。それをインド人ガイドの人が通訳した。
「数年前にはいろいろとあったようだけども、これからはよくなるので、心配
はない」
そのような内容だったと思う。あっという間にインタビューが終わりとなった
ので、私は持っていたフィルムケースのフタを開けて差し出して、この中にビブ
ーティを入れて欲しいと頼んだ。ナガナンダ氏は袖をまくって右手の親指と人差
し指との間からフィルムケースの中に白い粉をサーッと出した。あっという間だ
った。彼は特にこれといった準備はしていなかったが、少し気合いをいれたよう
にも見えた。物質化したビブーティの量は耳かき数杯分だった。
私のインタビューはそこまでだった。初めて「聖者」といわれている人と話を
したのだが、精神的に大きな感化を受けたというところまでではなかった。頭や
首、背中などを指で押されたためだろうか、身体が少し楽になった。
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